おはようございます。
先日発表された西鉄のダイヤ改正、いろいろと大きいニュースが届いてきました。いろいろ考えたい部分はありますが、今回は福岡都市圏全体を見ながら西鉄のダイヤ改正を考察していくという壮大なことをしていきたいと思います。改正の内容をつらつら書く気は毛頭ないので、改正の内容だけ知りたい方は西鉄のHPへ行ってくださいね笑
まず、主題である西鉄のダイヤ改正の内容から。大きなポイントとして春日原駅への特急の停車と平尾と高宮に朝ラッシュ時の上り急行が停車するようになります。全国的に見ても優等種別の停車駅増加はよく見られることです。しかし、今回の西鉄の停車駅増加はそう簡単に他の地域の事情とは一緒にできないと思われます。
まず今回の記事では急行列車の平尾と高宮に朝のラッシュについて取り上げていきます。この急行の停車駅増加について、公式では「混雑の平準化のため」と明記されています。では、この2駅の現状はどうなっているのでしょうか。平尾と高宮は普通電車のみが停車する駅となっており、朝の7時台から9時台にかけてほとんどが10分間隔で毎時6本の普通電車が設定されています。使用される車両については昔記事にしたこともありますが、3000形などのクロスシート車や3ドア車を中心に5両から6両がラッシュ時の普通電車に多く充てられています。
現在これだけの輸送力があっても足りないということなのです。それだけこの2駅の利用者が増えているということなのでしょう。ということで、急行や特急も停まる大橋駅も含め、利用者の増加率を調べてみました。今回は参考地として、全く同じ境遇とはいきませんが、東急田園都市線の用賀駅、小田急小田原線の経堂駅、JR東日本中央線の荻窪駅も合わせて調べてみました。見てもらうとわかる通り、西鉄の3駅の伸び率が首都圏より大きいのがわかります。人口が非常に多い世田谷区にある経堂といい勝負をしているということは、明らかに人が増えまくっている現状が見て取れます。(※上記の数値は2019年までの数値で、2019年が各年からどれだけ増加したかの増加率で見ています。2020年以降はコロナにより減少していますが、かなり日常が戻ってきている現状を見て最近の利用状況は2019年の数値に近づいている可能性が高く2019年との対比で計算しました。)
では、なぜここまで利用者が増えているのか、またどうして急行電車を停める必要が出てきたのか、そこを考察していきたいと思います。まずは、人口増加が著しいことです。福岡市は現在日本で一番活気がある町ともいわれています。市町の手腕もあって大規模な再開発とともに人口の増加はすごいことになっています。こちらも増加率を計算してみました。コロナなどもあり人口の流れというのは2020年を前後して一時的に変化しましたが、明らかに福岡市だけは増加の一途をたどっています。数値には出していないですが、社会増加が多いため福岡市に魅力を感じて引っ越してくる人が多いということです。
そして福岡市のもう1つの特徴として「コンパクトシティ」であるということ。福岡の中心部といえば天神と博多の二大都市です。しかし、この2つの都市から少し離れると住宅街が広がって山が目前まで迫ってくるという、非常に中心部から一定の距離に集約された町になっています。この人口増加とコンパクトシティがゆえに、福岡という都市部の人の流れは周辺市町村からの移動も多いですが、市内で通勤通学買い物をする人の移動が多く発生します。
しかし、福岡の最大の弱点が交通網が非常に弱いということ。現在福岡市内を走る鉄道路線は西鉄天神大牟田線と貝塚線、そしてJRの鹿児島本線と福北ゆたか線、地下鉄の七隈線・空港線・箱崎線のみとなっています。150万にもいる都市にしては非常に鉄道が弱くなっています。特に市内の移動に特化したのは地下鉄の3路線のみ、ほかは全てバスが輸送を賄っています。元々バスが主力だった街なので仕方ないのですが、バスは交通渋滞の発生や輸送力の限界がどうしてもあります。
西鉄の高宮と平尾はまさに人口が増えている福岡の中でも貴重な鉄道路線があるエリア、渋滞が発生し乗り切れないかもしれないバスを待つよりかは鉄道を選択する人が多いはずです。そうなると自然にこの2駅は利用者が増えていきます。
では鉄道側の輸送力というのはどうなのかというと、西鉄の現在のダイヤを見ているともう少し増発する余裕はありそうな気はしますが、車両の配置や運転士の増員などダイヤ以外のところで問題が発生しそうです。(まあ、西鉄福岡駅のキャパもあるのでダイヤも完全に余裕があるとは言えないですが)となると、この平尾と高宮の2駅の輸送力を上げるには増発が厳しいのであれば停車する本数を増やすというのが一番簡単に行いやすいという結果になります。ちなみに同じような状況がJR鹿児島本線の竹下駅と笹原駅にも言えます。この2駅も朝のラッシュ時間帯は博多方面の快速や区間快速が停車するようになっています。
このような考察から福岡市の人口増加は人々の移動手段の弱さをより露見させることになりそうです。今からこの規模の都市に鉄道を新規で敷設するというのは非常に難しいでしょう。そうなったときにどうするのがいいのか、これは福岡市が今後考えなくてはいけない問題かと思います。ただ、単にバスだけ鉄道だけというわけにはいかないように思います。この2つをうまく掛け合わせたスムーズな移動ができるようなまちづくりも1つ取り組んでく必要がありそうです。
さて、非常に長くなりましたが、急行の停車駅増加だけをとってもここまでの話ができました。さて、次回は特急の停車駅追加も深掘りしていきたいと思います。今回の記事が何か参考になればと思いますが、皆さんはいかが思われますでしょうか。まだ、福岡に移住してから2年もたっていない私ですので、コメント等でご意見いただければ私も知見を広げられるので幸いです。
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