おはようございます。
鉄道というものはその時代の技術に合わせて大きく進歩してきました。車両そのものはもちろんのこと、線路やその他施設も大きく進歩してきました。しかし、技術が進んだこの時代でも難しいものがあります。それが、「山」です。鉄道は車輪が鉄であることから、元々坂に非常に弱い乗り物でした。かといって山をトンネルでぶち抜こうなんてことも非常に難しいものです。これは現在進められているリニアの工事からも見てる通りいかに難関かがよくわかると思います。
さて、そんな山の話題から今日は近鉄屈指の秘境駅である「西青山駅」を取り上げていこうと思います。西青山駅は近鉄大阪線の駅で三重県側の起点である伊勢中川駅から数えて6駅目となります。大阪線は奈良県から三重県に抜ける際、山越えをします。いわゆる青山峠と呼ばれているところを抜けて伊勢平野に出るのですが、この山間区間も駅がこまめに設置されており、西青山駅はそのうちの1つとなります。特にこの西青山駅は四方が山に囲まれているいわゆる秘境駅です。
たいていはどの駅も山の中とはいえ小さな集落や街がありその近くに駅があります。例外として東青山駅周辺は目の前に四季の里という公園とハイキングコースがあるぐらいですが。しかし、この西青山駅は駅周辺には近鉄大阪線と並走する国道165号線が走ってるぐらいでほかは何もありません。駅前に確かに山道らしきのはありますが、獣道同然のうっそうとした道です。これがゆえに近鉄一の秘境駅と言われるようになっています。
この西青山駅は普通電車と急行のみが停車する駅ですが、2022年12月のダイヤ改正でもともと普通電車1本、急行1本だったのが、急行1本のみに削られ、現在では1時間に1本しか列車が停車しない時間帯があります。とはいえ、毎時1本であっても乗降客がほとんどいないので、それでも輸送力過剰なぐらいです。ホームは2面2線のシンプルな構造ですが、駅は緩やかにカーブしながら大阪方面に向けて勾配があり峠の途中であることを実感できます。
駅のすぐ東側には新青山トンネルという近鉄一長いトンネルが続いており、冒頭で記述した山の難しさを近鉄は平気な顔でトンネルをぶち抜くことでクリアするということをやってのけたことがよくわかります。おかげで集落もないようなところに作られ、西青山駅が秘境駅になったわけですが、、、
駅舎という駅舎はもちろんなく、非常に簡素な造りの駅になっています。自動改札機などというしゃれたものは当然なく、駅員さんもいません。しかし、柵で囲われてはいるものの、だだっ広いスペースがあり、ここはこの青山高原エリアのハイキングが非常に人気だった時のツアー客などの待機場所になっていたのではないかと予想されます。まさに、兵どもが夢のあと、という感じでしょうか。(兵ではない気がしますが笑)
駅前を走る国道165号線を少し歩いても特に何もお店などはありません。というか駅を出てからは休むスペースなどもなく、これでは駅で降りる人がいない、というか逆に降りた人たちはどこへ消えていってしまったのかと気になってしまうぐらいです。おそらく少し山のふもとに当たるところからお迎えの車とかが来て通勤通学してる可能性が高そうです。そんなわけで列車から降りる乗客の方が珍しいという現象が起こるわけです。
今回は日も暮れかけた時間に訪れたということもあり、より不気味さが感じ取れました。近鉄沿線で育った私ですが、どうしても西青山駅はただの通過駅、降りたのは今回が初めてでした。電車の本数も本数なので降りたとて何もすることないので仕方がないでしょうが、実際に降りてみて本当に何もないなと実感してしまいました。青山高原自体はハイキングコースとして人気でもあるので、この西青山駅も有効活用できればいいですが、現実的に今すぐには難しそうですね。たまにはこういう駅に行ってみるのも面白いです。