おはようございます。
一言で「沼」であらわされることの多い鉄道会社、それが関西の王者?近畿日本鉄道こと「近鉄」です。その路線網の長さとその車両形式の多さは人知れず有名で「近鉄だけは近づくな」とオタクたちに言いたくなってしまいます笑
そんな近鉄は様々な車両においてその当時においては独自で最先端?のものを積極的に導入することが多くユニークな車両も多いのが特徴です。最近ですと新型名阪特急の「ひのとり」が全席バックシェル付きの座席を用意するなどその特徴的でかっこいい車両は一躍時の車両のようになっています。
ただ私が思う近鉄が誇るべき車両はなんといっても「LCカー」であるといつも思っています笑というのもこの「LCカー」は近鉄が最初に通勤ラッシュにも長距離向けの乗客にもサービスを、ということでクロスシートとロングシートを1つの車両で実現させた画期的な車両で、現在では用途こそ変わってきてるものの西武や東急の関東中心に需要は高まっています。(※厳密には1970年代に国鉄ですでに発案された考え方とされていますが本格的に営業者に導入したのが近鉄が初のためここで元祖と記述しております。なおデュアルシートの仕組みについては各社で異なっているとのことです。)
今日はそんな私が思う近鉄の誇るべきLCカーのうち本当に最初に導入された改造LCカーについてその沼をご紹介していきます。
近鉄のLCカーの最初は2610系に改造して導入したものでした。2610系はもともと長距離急行編成用としてボックスシートの車両として登場しました。しかし大阪圏でのラッシュ時の乗降のスムーズ化が求められ、また4ドア車両にボックスシートを設けているためシートピッチの狭さなどもあり前者ロングシート化されました。
そしてほぼ時期を同じくして1990年代後半に2610系のX21を試作車としてLC改造され、試験運用されたようです。その後2610系のX26とX27に本格採用されさらには2800系にも改造LC車が3本導入されました。
2800系は2610系とほぼ同じ時期に登場した車両でまさに2610系のロングシート版と言えます。2610系がロングシート化改造された現在ではかなり似た車両になっていますが、やはり最初からロングシートで製造された2800系と比べると2610系はボックス時代の名残を感じる部分が多いです。
また2610系は製造当初から長距離運用を想定していたためにトイレが全編成についていますが、2800系はのちに設置されたAX11,AX13,AX15,AX17の10番台奇数編成のみしかトイレが設置されておらず、残りは2両編成、3両編成、4両編成ともどもトイレが設置されていません。
2800系もロングシート車として製造されていましたが、2610系が改造LC化されたタイミングでAX11,13,15の3編成がLC化工事を受けて現在は改造LC車の仲間として走っています。
ではここからまさに沼!、となる改造LC車の車内を深く?見ていきます。ちなみに現在は全ての編成が改造後に一度更新を受けており主にその更新時期の差異を見ていくことになります。(もう沼!沼!沼!です笑)
まずは改造LC車の試作車として登場したX21。この編成は最初にLC改造工事を受けた編成であるとともに改造後の更新工事も一番最初に受けた編成です。一番最初に赤系のモケットに交換されています。
更新時期はおよそ2008年ごろで、まだ奈良線系統などのシリーズ21が製造されていた時期であり、更新後のモケットは5820系(LC車版のシリーズ21)とほぼ同じになっています。腰の部分に凸凹があるのが特徴です。
車端部はシリーズ21とは異なるのですがヘッドレスがなく、優先座席部分はグレーのモケットになっています。ちなみに優先座席部分以外のところの車端部ではLC部分のモケットの色と同じものになります。
お次はAX13の車内です。こちらは2014年度に更新工事を受けた車両になります。ほぼ同じタイミングで更新を受けたAX11も写真のAX13と変わらないないようになっています。まずはモケットの色がX21よりも濃い赤色になっているのが写真でもわかると思います。
そしてLC部分のモケットのタイプも異なっているのがわかるでしょうか。こちらはシリーズ21とは別でそれなりに新しいものが用いられています。(おかげでX21やシリーズ21よりも少しはふかふかの座席です笑)
そして車端部も異なっており、モケットの色はもちろん濃くなっているのですが何よりもヘッドレスが設置されているのが特徴になるでしょうか。この車端部のヘッドレスはAX11,13,15,X26の4編成で設置されることになります。
お次は「3次更新車」と勝手に呼んでいるグループです。(ちなみにAX11,13は「2次更新車」、X21は「初期更新車」と勝手に呼んでます笑)
この3次更新車に当たるのはX26とAX15の2編成で、2015年前期に更新を受けた編成です。ちなみにどうでもいい情報ですがこの2編成は珍しく同時に高安で更新工事を受けている時期がありました。(名古屋線所属の車両が同時に2編成、それも貴重な4両編成が更新工事を受けるなんてことは少なくとも知る限りではこの時ぐらいかと…)
このX26とAX15は大まかには先のAX11,13と更新工事の中身はほぼ一緒なのですが、これまたモケットの種類を変えたのかそれとも個人の感覚なのか、色がさらに濃い赤になっている印象です。
そして一番の違いは室内灯がLED化されたことです。これは2014年末に更新された編成から順次行われており、もちろん一部の既存車でも交換は行われていますが更新と同時にLED化されるようになったのはまさにこの2編成が更新を受けた2014年末から2015年にかけてが最初でした。
そして最後が多くの近鉄ファンがご存知、「最終更新車」と私が勝手に呼んでいるX27です。なんといってもこのX27はそれまでの近鉄車では見られない大規模な更新で全く持って新しい車内になったものですから最初は度肝を抜かれました。
黒の内装として登場した一番最初の車両になります。更新を受けたのは2015年の後半、気づけばもう5年経つんですね。(急に個人的にしみじみ感じてしまう…)
室内全体がかなり白基調と黒基調でまとめられ、LC車のモケットもそれまでの赤系統のものから全く持って別物のグレーと黒のものになりました。見た目はかなりハイグレードのものに見えます。そして車端部は初期更新車のX21かのようにヘッドレスが撤去されています。そして優先座席はオレンジになり、視覚的にもかなりわかりやすくなったのではないでしょうか。
このX27の更新は最初こそ驚いたもののその後の近鉄の更新の標準となり、更新をしなくてもモケットだけグレー基調のものに交換される編成も出てきました。ちなみにLC車では改造も新造も含めてまだX27だけがこのモケットです。
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した改造LC車は全て名古屋線所属で運用範囲は基本的に近鉄名古屋~鳥羽間のみですのでぜひとも奈良線や大阪線、南大阪線沿線の人たちは乗りに行ってほしいものです笑改造LC車は6本在籍していますが、運用自体はロングシート車のFC92,93,AX17や新造LCのDG12と共通運用のため100%遭遇できるわけではないのですが…
どうしても名古屋線は5200系ことVXの本数が多くそっちに人気が集まりがちですが、個人的には古いながらもそれなりに快適性を保ち、ラッシュ時にも閑散時間帯の観光客向けにも柔軟に対応できる改造LC車はかなり万能な気がしており、かつ個人的に好きな古い車両にもあたることからこっちにももっとスポットが経ってほしいなと願うばかりです。ぜひとも乗ってみてその面白さや良さを共感できる人がいたらコメント等ほしいです笑